視力の低下には様々な原因がありますが、代表的なものに「近視」があります。世界的に見て日本人には近視者が多く、人口の6割以上が近視と言われます。
正常な目の状態では、遠くを見たとき、網膜上に焦点を結びます。しかし近視の場合は、角膜や水晶体を通った光が網膜よりも前でピントを結んでしまい、焦点が合わないため、はっきりと物を見ることができません。
近視の場合は、メガネやコンタクトレンズで矯正すれば、網膜上にきちんと像が結べるようになり、日常生活に支障をきたさない視力を保つことができます。よく心配なさる方がおられるのですが、適切なメガネを使っていれば、メガネの使用によって視力が低下することはありません。また、メガネの度数によって、見え方や目の疲れ具合も異なってきます。お子様の場合ですと、視力の発達具合にも影響が出てきます。
老眼は、40歳前後から始まる目の老化現象です。目のピント合わせをしている水晶体の弾力性が老化により衰えて、調節の幅が小さくなるために、近いところが見えにくくなるのです。近くが見えにくくなっているのに無理をしていると、肩こり、目の疲れ、頭痛、吐き気のような症状が現れ、日常生活にも支障が及びかねません。
また、視力の低下を感じていても老視だからと自己判断して放置される中高年の方が少なくないですが、緑内障や加齢黄斑変性など、実は別の疾患が隠れており、それが進行して視力が低下している場合もあります。目が霞んだり、なんとなく見えにくくなってきたように思われる方は、お早めにご相談ください。
通常、物を見るときには、左右の目が見ようとするものの方向に自然と動きます。斜視とは、両眼が同じ方向を見ていない状態を言い、お子様の2%くらいにみられる疾患です。斜視は早期に治療しないと、弱視や複視(物が二重に見える)の原因になりますので、気になった場合は早めにご相談ください。
6歳くらいまでの視力発達の大切な時期に、目の病気(斜視や遠視など)や、なんらかの異常、けがなどが原因で視力が正常に成長しない場合があり、これを「弱視」と言います。視力の発達時期にはリミットがあるため、早期発見が重要です。